かけたりわったり(かえるの翻訳うらばなし)

2002/09/13「しかご・あふぇあ」byなたりあさん
/総/論/
 任務とろーまんすとがいい配分で含まれていて、甘すぎず辛すぎず、ああええ話や……とスナオに感動できて、願わくば年に一、二度ぐらいの割合いでいいから、こういう新作が出てきて欲しいワ、と個人的に超オキニーなお話でございます。

 イリヤのダークな過去のヒミツについては、このネタもパターンのひとつとしてありますが、十年ご無沙汰というのはイリヤの年齢設定からしてリアルで頷けます。いくら童顔で小柄で可愛い子ちゃんでも、ハタチも半ば過ぎてまでそういうのに使われてちゃいけませんよねー。だいたい幾ら「お若く見えますね」と言われた所で本物の若い子と並んでりゃ違いはスグ分かるってもんで、と話題がリアルライフに横滑りしそうなので軌道修正。
 各国のスパイ組織が相手の秘密を探ったり、あとで脅しのネタにするために、場合によって若い男を使うというのは実際あったそうですが――晶文社『KGBの世界旅行ガイド』によると、KGBエージェントが西ベルリンでの活動中、いつも二人で組んでたらそのうち『頬と唇がかすかに赤らんだエレガントな青年』にどこに行っても会うようになったとか(^^;――そういうのはやっぱり使い捨ての下っ端仕事であって、イリヤぐらい技能と学歴があって、正規に国際組織に派遣されて来るような人がいつまでもそんな汚れ仕事してたとは思えない。

 ナポレオンのイリヤへの接し方も押し付けがましくなく、相手が負担に思ったり、同等の友人、ないし仕事仲間としてのプライドを傷つけないような手の差し伸べ方でとても好感が持てます。特にイリヤが最初の接触に失敗(接触はしましたがね…)したあと、ホテルの部屋に入ってきて、さて自分の上着をどこに掛けようか、としばらく考えるところなど、とてもアメ公(失礼)とは思えない(さらに失礼)細やかな気配りでほんとにステキ。
 『頑固なロシア人(stubborn Russian)』が枕詞な彼もこういう絡め手には弱いのか、ナポレオンがいるとやや甘えんぼモードになっているようです。行動だけでも、ケリーが帰って素に戻った後はやたらベッドでふにゃふにゃ寝てて起きてこないわ、朝ご飯からお着替えまで面倒みてもらってるわ。ウラヤマシイゾカナリ... 何といっても可愛いのが、
[And do not touch me either!] から突然 [Will you kiss me?] なんて言い出してしまうところですね。ああやっぱ三十すぎのおっさんでも可愛いものは可愛いよなーーvとあっさり前説を覆してしまうわたくし<というか元々高齢者萌えだし。

 幾つか『ソレらしい』セリフはあるものの、[I love you] の一言が最後まで無いところも新鮮でした。ま[I treasure you] で十分確認出来ますし、ふつー連発されないだろうこういうフレーズだからこそ却って重みがあるというもんですが、願わくばココのお二人には単なるバカップル化せず(それはそれでカナリ好きなんですけども)愛でなく恋でなくビミョーなスタンスを置きながら、末永くシヤワセになって戴きたいと思います。えへ。

/今回の豆知識/
 なたりあさんは実際に60年代後半のシカゴをモデルにお話を作られたそうで、出てくるホテルから劇場、病院まで実在のものでした。
 Passavant Memorial Hospitalは1972年にChicago Wesley Memorialと合併し、現在はNorthwestern Memorial Hospitalというベット数492の大型総合病院になっているそうです。
 『Mr.Kelly's』もRush Streetに実在したJazz clubでした。つーことはイリヤがオヒル食べてたチョコケーキのおいしい、ガラス貼りのカフェなんかもあるんでしょうか。本編MFUのロケツアーは出来ませんが、Chicago Affairのモデルポイントツアーなら実現可能ですね。シカゴ・ヒルトンに泊まってお芝居見てナイトクラビング…うわー高くつきそ★

 "All I want is a loaf of bread, a jug of wine, and thou..."
 こりは検索したら、11世紀古代ペルシャの詩人、オマル=ハイヤームの4行詩集『ルバイヤート』からの引用らしいです。エドワード=フィッツジェラルド(英国世紀末の詩人)が翻訳してから有名になったそうなので、英語圏では『国破れて山河在り…』ぐらいメジャーな詩文なんでしょうか。[Thou] は古英語の[You] だそうで、これは辞書にも載ってました。
 いやーほんま勉強になりますねー。なおかつKYはLubeの商品名なんですよ、とかいう類の事と違って、堂々と世間に自慢できるような文化的教養ではないですか!なんでそんなこと知ってるのかとか、詩に詳しいのかと突っ込まれると一発アウトですけども。

/今回の難所/
 むつかしいというか、ケリー教授とアンドレイ君のxxxシーンは進みが悪かったです。始めに劇場で引っ掛けるところなんかは途中で課長が(声のみ)割り込んで来たり、後でナポレオンが(笑い声のみ)チャチャ入れに来たりして面白かったんですが。そうか私は自分で思っている以上に、上下はどーでもNS&IKのペアリングが好きなんだなーと再認識したりして。
 でも前々から一度ぐらいはソロがよその♂とどーかなってしまう話(合意非合意問わず、但し課長とマークは除く)も読みたいぞーっと思っておるのですが、読んだら読んだでやーな気分になるか「つまらぬ〜〜☆」と思ったりするんでしょか。ナゾです。でもとりあえず現時点では目のクロイうちに読んでみたいのよ……。

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