Act-1
Act-2
Act-3
Act-4
Act-5
/5
by Ginny
Check The Original
Act-1
-T-
寝息が聞こえる。
イリヤは目を覚まし、満足げに身体を伸ばして、背後の暖かな身体に寄りかかりなおした。
ひとつあくびをして、まだベッドから出なくてもいい時間だということを確かめると、寝返りを打って、恋人の逞しい肩を枕にもう一度瞼を閉じた。そして、自分の人生がほんとうに始まった、半年前へと意識を漂わせていった。
事実ナポレオンと彼は、今度もお互いを救ったのだ。イリヤはソロを、スラッシュに誘拐され、偽者とすりかえられたのちに牢から救い出した。一方ソロは、イリヤを二度までも救った。一度目は彼を殺そうとしたソロの偽者から、二度目は彼がパートナーを見つけるためにした事への、彼自身の罪悪感と羞恥心から。
友人に軽蔑の眼差しで見られるぐらいなら、いっそ死んでいた方がよかっただろう。しかし、その表情に軽蔑の感情はなかった。あったのはただ愛情で――イリヤ=クリヤキンは命を取り留めた。
イリヤは、自分の友人と、パートナーと、そして今は恋人と初めて愛し合った後、U.N.C.L.E.の隠れ家で目覚めた時のことを思い返した……。
ナポレオンはベッドに横たわって、眠っている恋人を15分ほど楽しげに見守っていた。二人はベッドの上で絡みあい、疲れきった身体の上にイリヤが被せた上掛けにくるまったままだった。
イリヤの瞼がうっすらと開き、まもなくその顔に素晴らしい微笑みが浮かんだ。
「おはよう、my friend」
彼はそう言った。笑顔が消えて、おずおずとした問いたげな視線に変わる。その美貌によぎった感情を読み取り、ソロは屈み込んで友人の瞼に、次に頬に軽くキスし、上下の唇を触れ合わせた。
「ああ、おはようmy love」
腕を伸ばして更に抱き寄せ、恋人の顔に、隠す前にちらりとよぎった苦痛を目にして、すぐさま動きを止めた。
イリヤはもう一度抱き合おうとして身をすり寄せたが、ナポレオンが両腕を強く掴んで押し止めた。
「止めるんだ、Tavarisch」
ソロの口調には有無を言わせないものがあった。クリヤキンは困惑した表情で、友人の目を覗き込んだ。
「どうして?」
仰向けになって揺れる感情を抑えようとする。友人に拒まれたのが気掛かりだった。
ナポレオンは手を上げて、彼のおとがいを愛しげに持ち上げ、顔をこちらに向かせた。
「Illyusha、痛いんだろう。君は認めないだろうけど」
手をあごから離して、滑らかな唇を指で塞いだ。
「他の事を言おうとしたって駄目だよ、my love。僕には解ってるんだ。もう君を本部に連れて帰って、診察してもらわないと」
イリヤは腕を伸ばして口を塞いでいる手を外し、広げた手のひらに柔らかくキスをした。
「Napasha、僕は大丈夫だ、本当だよ。医者に見せる必要はない」
ソロが軽く笑った。
「イリヤ=クリヤキン、君は身体中弾丸の穴だらけになってたとしても、医者は要らないって言うんだろうな」
友人の唇に優しく口接け、彼はベッドから滑り出て服を身につけた。
「頼むから言い返さないで、」
ナポレオンは物欲しげな表情を浮かべて、パートナーを振り返った。
「君を家に連れ帰って、気が狂うほど愛し合いたいけど、医者が大丈夫だと言うまではそれもできない」
イリヤはしばらくそのままでいたが、逆らっても仕方ないと思い、身を返してベッドの端に座った。全身がいっぺんに痙攣したようになり、動きを止める。抑えようとする先に呻き声が上がり、痛みを楽にしようとベッドに仰向けになった。
ソロが慌てて彼の側に来た。
「なんで君はそう頑固なんだ?」
彼の言葉は厳しかったが、顔は相手を気遣っている。
「Illyusha、お願いだから手助けをさせてくれ」
ナポレオンがベッドのそばに膝をつき、恋人の手を優しく手に取って、苦痛を湛えたその瞳を覗き込んだ。
イリヤは苦痛をコントロールしようと、二度ほど深く息をついた。
「他にどうしようもないみたいだな、my friend。僕は立つのも歩くのも出来そうにない」
弱いところを見せるのは大嫌いだったが、恋人の心配そうな表情や眼差しは何ともできなかった。
ナポレオンは立ち上がって、傍らのクロゼットに行き、やわらかなバルキー地の毛布を引っ張り出した。
ベッドに戻り、屈み込んでイリヤの肩に片腕を回し、ゆっくりとベッドから起き上がらせる。相手がふらついた時にも、友人の肩をしっかりと支えていた。目に入ったその身体のありさまに顔をしかめ、ソロは毛布でそっと覆い、巻き付け、彼を腕のなかに抱え寄せて持ち上げた。
「大丈夫?」
彼がそっと尋ねた。ナポレオンの心配そうな顔を見ていると、ありのままに言うことはできなかった。
「平気だ。早く行こう」
彼は両腕を友人の首筋に回し、肩に頭を載せて目を閉じた。
ナポレオンは大股で部屋を出て、友人を抱えたまま階段を降り、ドアをくぐって停めてあったヘリへと向かった。
相手を助手席に運び、ベルトを締める。それから反対側に行き、ヘリに乗り込んでエンジンをスタートさせた。
ヘリが宙に舞ってすぐ、ソロは腕を伸ばして恋人の手を柔らかく握った。
「もう数分で着くからね、」
愛しげに微笑みを向ける。
「今夜は、僕と一緒に帰ろう」
頭の中はぼんやりとしていたが、それでもイリヤは彼がにっこりしているのが見えた。
「良かった。もし医者に止められても、僕を病院から連れ出してくれるって事だな?」
彼はシートに寄りかかったままパートナーの手を握り、激しい痛みをこらえようとしてもう一度目を閉じた。
15分後、ナポレオンはヘリを本部のヘリポートに着地させた。急いで反対側に周って、パートナーに手を貸そうとしたが、イリヤはもうヘリの外に滑り出て、ビルの屋上に立っていた。ソロに掴まれる前に、酔っ払いのように大きくふらついた。
「イリヤ、そういつまでも物分かりが悪いとひっぱたくぞ!」
彼は怒ったような声を出そうとしたが、友人を腕の中に取り戻した気分が嬉しくて、それどころではなかった。
クリヤキンは相手を宥めるように微笑んだ。
「君の、いつもの手かな?」
しかし素直に、温かい肩に頭を伏せた。
ナポレオンは、自分の恋人をしっかりと身体に押し付けるようにして抱き支えたまま、エレベーターに乗り込んだ。
深い青い瞳を覗き込んでいると、もう離すことは出来そうにない。
「一緒に暮らそう。僕はいつまでも君と一緒にいたい」
イリヤは一瞬動転し、返事ができないでいるうちに、エレベーターのドアは受付けのあるフロアへと開いた。ソロは急いで受付け嬢のところへ向かい、二人にバッジを付けてもらった。
「何かお手伝いしましょうか、ミスタ・ソロ?」
席に戻りながら、若くて可愛いブルネットの女性は尋ねた。
ナポレオンが彼のお馴染みの微笑みを返す。
「いや、彼は僕が『持ってる』から」
恋人を柔らかく抱きしめ、通路へと歩き出しながら彼は言った。
「それにもう二度と離さない」
静かに相手の耳に囁く。イリヤはもう黙っていられなかった。
「Napasha、もし僕が君と一緒に暮らせば、ここの皆に知られてしまう。まずくないのか、君は?」
彼は友人の目をみつめた。相手を傷つけたくはなかったが、ナポレオンが自分の言ったことを解っているのか確かめたかった。
「Napasha、僕は……」
行いは言葉より雄弁なりき、ナポレオンは時間の無駄遣いはしなかった。
顔を引き降ろし、まさに本部のまっただ中で、パートナーの唇を情熱的なキスで塞いだ。
顔を戻すと、真っ赤になった相手を見下ろす。
「これで答えになった?僕は君を愛してる。それに、誰に知られたって構わない」
彼は受付係をふり返って、彼女らの驚いた顔つきを愉快そうに見た。
イリヤはパートナーの行為に汗びっしょりになり、二の句が継げないでいるうちに医局へ運び込まれ、注意深くベッドの上に下ろされた。手を伸ばして再びパートナーの手を握る。
「僕も君を愛してる……から、」
ゴードン医師が入って来た時、手を離そうとしたが、ナポレオンは離さなかった。椅子を引っ張ってきてベッドの側に腰掛け、手を緩めなかった。
医師が診察を終えるまでずっと、ソロは彼の手を取っていた。相手が針を刺されたり、器具で突つかれたりして、こらえきれずに呻き声を漏らすたびに、イリヤの手を優しく握り返した。ウェイバリー氏が医局に入ってきた時にもまだそのままだった。
「彼は大丈夫かね?」
ベッドの側で立ち止まり、横たわっている打撲と切り傷だらけの部下を見下ろして、彼は尋ねた。
ナポレオンも医師を見つめ、不安げに答えを待った。
「かなり外傷は多いですが、少し脳震盪を起こしている他に、おもだった負傷は見受けられません。多数の切り傷があり、とはいえ安静にしていれば縫合の必要はないようです」
医師の言い方は無愛想だったが、彼等にはいつものことだった。
「肋骨がかなり痛みだすでしょうから、48時間はベッドで絶対安静に。歩くのも無理なので、ここにいてもらいましょう」
医師は看護婦に顔を向けた。
「モルヒネ注射と、病室の準備を」
イリヤがそこで遮った。
「結構、僕は帰宅します。鎮痛剤も要りませんし、泊るのは御免だ」
彼は強硬にそう答え、助けを求めてパートナーを見た。
ソロは手で触れて相手を宥め、ウェイバリーを振り返った。
「Sir、彼を連れて帰宅したいんですが。この数日間の後では、僕等二人ともちょっと休養が要ります」
ソロがほんのしばらく友人を見つめ、相手の気持を察してイリヤは一度、頷いた。
「それとですね、イリヤは僕と、永続的に同居することになりますので、申請をお願いできますか?」
ウェイバリーは、予め予想は付いていたかのように、躊躇なく言った。
「大変結構だ、諸君。二人とも1週間もあれば回復するだろう。本日より1週間後に戻ってくるように」
彼はさっときびすを返し、ドアから出ていった。
ソロとクリヤキンの二人は口をぽかんとあけたまま、ウェイバリーが出て行くのを眺めていた。
-U-
イリヤは現実に戻り、パートナーの身体が動いたのを感じて目を開けた。
「おはよう、Napasha」
ヘーゼルの瞳が開いて自分を見ているのがわかると、彼は愛しげにそう言った。
「おはようTavarisch」
ナポレオンが僅かに身動きして、彼を腕の中に固く抱き寄せた。小さく笑みながら、顔を傾げて唇を奪う。
「よく眠れた?」
イリヤは彼の瞳を見つめた。彼のキスから顔へ温もりが伝わる。
「君と一緒にいるのに、よく眠れないわけないだろ?」
恋人からそんな言葉が出たのが嬉しく、ソロは更に強くその痩せた身体を抱きしめた。
自分達が愛し合う中で、イリヤが花のように咲き綻んでゆくさまを眺めてきたこの半年は、さらに嬉しい日々だった。この年下の男の変わりようは驚くほどだった。
彼は笑い声をあげ、微笑み、以前イリヤはよそよそしい奴だと思っていた人々――友人達に、恋人同士として認められた。
かつて纏っていた冷淡な雰囲気がイリヤから消え、ナポレオンはそれは自分のせいだと、さらに素晴らしいことには自分達のせいだ、と思っていた。
「愛してるよ」
ソロはきっぱりと言った。
「僕も愛してる、Napasha」
クリヤキンが早口で答えた。
「でも早いところベッドから出ないと、僕は君に手を出してしまうし、確実に仕事に遅れちまう」
そして悪戯っぽく笑った。ソロがそれを聞いて含み笑う。
「なら今すぐそうするといい。今日僕等はオフだから」
イリヤが彼を不思議そうに見た。
「オフ?」
「ゆうべウェイバリー氏が、明日何か大きな仕事があるとかで、今日はゆっくりくつろいでいいって言ってたんだ。今夜か明日の朝には新しい任務について言ってくるから、もし、君が僕に何か……」
イリヤは最後まで待たずに、身を翻して恋人の上に乗っかった。
滑らかな唇に唇を押し付け、下になった男を捉えた。彼の手は優しく、しかし情熱的に引き締まった身体を愛撫してゆき、乳首に絡まっては筋肉を探っていく。同時に舌を恋人の口腔に差し入れ、魂まで焦げ付かせるように熱く口接ける。
ナポレオンが身体をくつろげたのを感じ取るや、イリヤはやりかたを変えて、唇を離し恋人の上半身にキスをしては舐め下ろしていった。固く、濃く色づいた乳首を咥えて、もう片方も同じようにする。
ソロが仰け反って、受けている快感を返せるよう身動きしようとしたが、そっと手で抑えられた。
「駄目だよNapasha、僕がするんだから」
喘ぐようにそう言い、イリヤは日焼けした肌に唇を、舌を這わせる。恋人の肢体を、その先までずっと唇に感じていくうち、情熱に青い瞳が色を深めた。
「君は、素敵だ」
堅く締まった胸に、口接けを下ろしていく。
その感触に耐え兼ねて、ナポレオンが目を瞑った。
「Illyusha、早く――欲しい、」
口早に言う。欲望に声がざらついた。
イリヤは取合わずに見事なボディに舌で道筋をつける。張り詰めた昂ぶりを避け、片足の爪先までキスしてゆき、もう片足をゆっくりと這い上がっていった。
全身にキスを受け軽く歯を立てられて、ナポレオンの身体は奮い立ち、じっとしていられなくなった。
「お願いだIllyusha、僕の、中に、」
恋人が喘ぎながら求めてくる。その求めにも取合わず、イリヤは屈み込んで、相手の張りつめた性器を、一気に完全に咥え込んだ。強く舐めしゃぶりながら、ゆっくりと上下させる。
数回口を動かしただけで、相手の身体がこらえようもなく引き攣れはじめたのがわかった。
「Illyusha、もぅ――」
ソロの口から僅かな言葉が漏れ、彼は頭を枕に仰け反らせて、声をあげ友人の暖かな口内に遂情した。
イリヤは恋人の甘い蜜を、送り出されるごとに飲み下し、また舌で舐めてはしゃぶり続け、パートナーが殆ど意識を失いかけてベッドに仰向けになっている間に、一滴残さず自分のものにしてしまった。
ベッドの上にちょこんと正座し、恋人がまた瞼を開くのを、首を傾げて見守る。
「君はひどい奴だ、イリヤ=クリヤキン、」
悪巧みをするような表情を浮かべて、ソロが言った。
「それに、愛してる、君を」
「僕も愛してる、Napasha……」
答えを得るが早いか、ナポレオンが素早く起き上がり、両腕を巻き付けて横に転がし、若いロシアンに乗りかかり、相手をベッドにしっかりと縫いとめた。
「僕もひどい奴だ。ということで、一日かけてお互いにどれだけひどい奴なのか、調べるとしようじゃないか」
ソロはその言葉通り、さっき相手にそうされたようにイリヤの身体を探りはじめ、その身体から最後の一滴を飲み込むまで止めなかった。
それから疲れきって枕に倒れ掛かり、友人を暖かな抱擁で包んだ。
ぴったりと寄り添ったまま、彼等は満ち足りて眠りに就いた。
-V-
翌朝、彼等二人は同時に目を覚ました。
「おはよう……」
そして同時に言った。ナポレオンが笑った。
「僕等は、長年連れ添った夫婦みたいになっていくな」
恋人を間近に引き寄せ、胸元に押し付ける。
「もし休暇が続くとしたら、時々はアパートメントから出るのを忘れないようにしないと」
イリヤがにっと微笑んだ。
「Napasha、今日から1週間牛馬並みに働かされるっていうのに、文句を言われるのは御免だな。肉体的にこんな――」
ナポレオンのコミュニケーターが鳴った所で彼は言い止めた。
「僕等の休日は終りだね」
クリヤキンはベッドを滑り降り、バスルームに向かいながら、パートナーが呼び出しに応答しているのを聞いていた。
数分後、彼は一旦寝室に戻ったが、ナポレオンの姿はなく、キッチンに向かってティーポットに手を伸ばした。リビングルームから入ってきたソロがそれを止めた。
「時間がないんだ、仕事だよ。7時に食堂でマークと会うことになっている。コーヒーとドーナツでも買おうや」
イリヤは伸ばしかけた手を止めた。
「買うんなら、もっとマシなものにしろよな」
振り向いて、寝室に顔を向ける。
「5分待って貰える?まあ、一緒に来るんじゃなければ」
イリヤは相手の肩をすりぬけて、寝室に向かった。ナポレオンが微笑んだ。
「そうしたいけどね。もし一緒に行こうもんなら、仕事に間に合うかどうか怪しくなるし、ここでお待ちしてた方がいいでしょ」
4分以下でイリヤは寝室を出て、自分の銃の弾装を調べ、ホルスターに納め、ジャケットを手に取った。そして、男二人は揃って外に出た。
食堂までのドライブは、言葉は交わさなかったが気持ちのいいものだった。イリヤは2、3度あくびをした。
「寝不足かな、Tavarisch?」
自分達が昼夜なく愛し合った素晴らしい一日を思い出して、ナポレオンが軽く笑い声をたてた。
イリヤはその問いかけを無視し、いつもの職業的な態度で相手の顔を見た。
「任務って何だい」
ソロが車を停め、顔を傾けて触れるだけのキスをして、車から滑り降りた。小さな食堂へと向かう間に、イリヤが尋ねた。
「THRUSHの新しい計画が動き出した」
ナポレオンはブース席に納まり、あたりを見回してもマーク=スレートの姿がないので、コーヒーをふたつ注文した。
「情報によれば、奴らはその資金源にヘロインを充てるつもりだ。今からその新しい麻薬工場を攻撃して、奴らの動きを少しは緩めてやろうと、いうわけ」
イリヤの顔が、ある種侮蔑といった表情に変わった。
「ドラッグ!」
彼は首を振った。
「何だってあんなものに手を出すんだか、死んでも理解できないな」
ナポレオンが同意して頷く。
「弱い連中だよ、Tavarisch。僕だって御免だね。自分からあんな事するぐらいなら、死んだ方がマシだ」
イリヤがドアの方を向いた。丁度マークが入ってきた。彼はテーブルごしに手招きした。
「エイプリルは何処?」
どちらが聞いてもよかったのだが、イリヤが言った。マークが肩をそびやかした。
「僕が呼び出された時には本部に居たよ。ウェイバリー氏は彼女を別の任務につかせた、で、僕が君らのヘルプに選ばれたってわけ」
「何か頼む?」
ソロはマークに尋ね、相手が首を振ったので、テーブルに数ドル置いて立ち上がった。
「じゃあ出発しよう。ウェイバリー氏によればその麻薬工場は、今日は殆ど無人らしい。攻撃は早ければ早い方がいいだろう」
ソロは出口に向かい、彼のパートナーとマークがそのすぐ後に続いた。
麻薬工場までは車でわずか10分だった。ナポレオンは二人に工場の見取り図を見せ、攻撃の計画を説明した。
イリヤは、ナポレオンに自分とマークが組んで行動するように言われた時、怪訝そうな目で友人を見た。
「Napasha?」
ソロはパートナーをちらっと見た。
「イリヤ、進入も脱出も迅速でなくちゃいけない。僕が地下を調べている間に、君ら二人は上の階をやっちまってくれ。心配はいらない。A cake work――簡単なもんさ」
彼は穏やかに笑って恋人を安心させながら、THRUSHの麻薬工場から半ブロック離れたところに車を停めた。
3人の男は無言で車から降り、小さな建物のポーチの階段を足早に駆け上がった。イリヤがピッキングを取り出し、僅か数秒でドアを開けた。静かに建物に侵入し、銃を手にマークとナポレオンが入ってくるのを援護する。
ナポレオンは、手ぶりでイリヤとマークに1・2階へ行くよう指示し、そして地階へ通じるドアに向かった。
Act1-end >
Go to Act2
CLOSE
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送